深さ10mくらいのところの地温は、年平均気温にほぼ等しくなっています。四国九州の南部で20℃、北海道で10℃、東京や大阪では17℃程度です。もちろん深くなれば地温は上昇しますが、100m程度の深さでは温度の上昇は2~4℃程度です。
地中熱とは?


一方、四季のある日本では、冬と夏に地上と地中との間で10℃から15℃もの温度差が生じています。つまり、温度が一定である地中は冬には温かく夏は冷たい。地中熱の利用ではこの温度差に着目して、効率的に熱エネルギーの利用を行っています。
ここで、地熱と地中熱の違いについて補足的に説明します。地球がもっている熱エネルギーが地熱ですので、地中熱は地熱の一部ともいえますが、利用の仕方から見ると、火山に近い場所にある高温のエネルギーを発電等に利用する地熱と、足もとにある恒温のエネルギーを温熱・冷熱として利用する地中熱とは、似て非なるものです。
地中熱利用促進協会では地中熱を次のように定義しています。すなわち、「地中熱とは、昼夜間又は季節間の温度変化の小さい地中の熱的特性を活用したエネルギーのことである。」このように、わが国では地熱と区別して地中熱という言葉を使っています。
暮らしの中の地中熱
地中熱は私たちの足もとにある自然エネルギーです。地中熱は最近注目されるようになってたエネルギーのようにみえますが、実は昔から日本では利用されてきています。地中熱交換器を使った地中熱利用は、1980年代からですので新しい技術といえますが、温度変化の小さい地中の特性は、野菜を保存する室(むろ)ですとか、これまでも食品の貯蔵に地中の空間が使われてきています。さらに、私達の先祖にあたる縄文人の竪穴式住居も地中熱を巧みに生活空間に取り入れたものといえます。地中熱は実はこのように様々な形で利用されてきており、現在の地中熱の利用もこれらの歴史を受け継いでいます。

自然エネルギーというと天候に左右されたり、利用できる時間帯が限られていると見られがちですが、地中熱は安定的に何時でも利用できる自然エネルギーです。また、地中熱の場合、日本中どこでも利用できることも大きな利点です。
